#01:健康経営とメンタルヘルス

メンタルヘルス対策研究所の高橋です。

これからメンタルヘルス対策に関するあれこれを情報発信していこうと思います。

みなさんの日ごろの社内の健康管理やメンタルヘルス対策、ストレス対策に参考にしてもらえると嬉しいです。

1回目の今日は健康経営とメンタルヘルスについてです。

1.健康経営って企業にどんなメリットがある?

健康経営ということに関心がむきはじめたのは最近のことですが、日本では経済産業省が、2000年代はじめから企業の競争力強化と労働力の生産性向上を図る観点から、健康経営を奨励し、企業に対して健康経営の重要性をアピールしていました。そして2017年に「健康経営優良法人」の認定制度がスタートし、優れた健康経営を実践する企業に対して認定が行われるようになり、注目度があがりました。

健康経営が注目されるようになったのには、4つの背景あります。

1)環境の変化: グローバリゼーションやテクノロジーの進化により、労働環境が大きく変化しました。これに伴い、労働者の健康と福祉が組織の成功に対して重要な要素となったことが、健康経営への注目を引き起こしました。

2)労働者の健康意識の向上: 一般の労働者が健康に対する意識を高めたことも一因です。健康を重視する労働者は、自らの働く環境においても健康を重視するようになり、企業に対してその取り組みを求めるようになりました。

3)医療費増加への対応: 医療費が増加していく中、企業は予防的な健康プログラムを通じて医療費を抑制しようとする動きが広まりました。健康経営はこの課題に対する一つの解決策と見なされています。

4)法的規制の変化: 一部の地域では、労働者の健康と安全に対する法的要件が強化され、企業はこれに適合するために健康経営を採用しています。

これらの要因が相まって、企業が健康経営を積極的に取り入れるようになりました。現代の企業は、従業員の健康と組織の成功は切り離せないと認識し、健康経営を戦略的な一環として位置付けています。健康経営をとりいれることで従業員の生産性向上や人材確保や定着率の向上につながり、医療費や労働者の休業に起因するコストを削減でき、企業イメージのアップや法的規制への対応もクリアできるのです。ですから企業の発展のためにも健康経営に積極的に取り組む必要があります。

現在、企業は従業員のメンタルヘルスを重視し、同時に組織全体の健康経営を推進することが求められています。メンタルヘルスと健康経営は密接に関連し、それぞれが相互に影響を及ぼしています。ここでは、この二つの要素がどのように関連しているかを解説し、健康的な組織文化の構築がなぜ重要なのかについて探ってみましょう。

1)メンタルヘルスが健康経営に与える影響

a. 生産性向上

メンタルヘルスの向上は、従業員の生産性向上に直結します。心理的な健康状態が良好な従業員は、仕事に集中しやすく、創造性や問題解決能力が向上します。これが健康経営においてもたらされる利益の一つであり、生産的な職場環境の構築に寄与します。

b. 退職率の低下

従業員のメンタルヘルスが適切にサポートされる組織では、従業員の退職率が低下します。安定した雇用状態が維持されることで、組織は人材の継続的な育成と経験を活かしやすくなります。

2)健康経営がメンタルヘルスに及ぼす影響

a. サポート体制の整備

健康経営の一環として、メンタルヘルスに対するサポート体制を整備することが求められます。労働者が安心して相談できる環境や、メンタルヘルスに特化したプログラムがあれば、従業員は自身のメンタルヘルスに積極的に向き合えるようになります。その結果、休職等に追い込まれる前に対処することができるようになります。

b. カルチャーの形成

健康経営は、組織のカルチャーを形成する要素でもあります。メンタルヘルスへの配慮が組織の価値観として浸透することで、従業員はお互いに理解し合い、協力しやすい環境が築かれます。それが働きやすい環境を生み出し、生産性向上につながるのです。

まとめ

メンタルヘルスと健康経営は相互に補完し合う関係にあります。従業員が心身ともに健康であることは、組織の長期的な成功に不可欠です。したがって、企業は積極的にメンタルヘルス対策を取り入れ、健康経営を通じて従業員と組織の双方に対するケアを提供することが求められています。

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