#25:AIにお悩み相談

メンタルヘルス対策研究所の高橋です。メンタルヘルス対策に関するあれこれを情報発信しています。皆さんの日ごろの社内の健康管理やメンタルヘルス対策、ストレス対策に参考にしてもらえると嬉しいです。

先日神戸で開催された第121回日本精神神経学会に参加してきました。

そこでAIの精神医療への利用の発表をきいていたら、AIと精神科医の比較があり、AIはいつでも何時間でも、機嫌をそこねることも疲れることもなく、共感を示しながら相談に乗ることができることが示され、利用者から好感を持たれているという発表がありました。

実際に利用してみるとなかなかいいアドバイスをくれたり、励まされたり、自分の好みをはじめに伝えておけば、それに沿ったコメントをもらえるので、大変便利と思いました。

実際多くの若者たちが利用しているということで、診療場面でたずねてみたら、受診している多くの学生や若者たちが利用していました。どんなアドバイスをもらえたのと聞いたときに、医者に行けって言われたとの答えには笑ってしまいました。

AIにも対応できないことがあるということですが、病気の診断や治療に関してのコメントは出さないように設定されているようです。

AIの利用も年齢層によってかなり違うようで、若年層は相談相手として利用していることも多かったです。確かにいつでも利用できて、使い勝手もよく便利なツールです。話を聞いてもらいたい気持ちが強い人にはいい相手になります。

問題点としては、現実に相談する人がいないという点と、実際の人間関係が希薄になってしまうことが考えられます。多くの問題は、解決しようとするときには何人かの協力者が必要になることが多いです。そこで実際に相談して協力を得ていく過程がないと、現実の問題解決につながらず、同じ悩みをずっと引きずる可能性が高いです。また相談ごとをしないとなると、人間関係が希薄になりやすく、心からの信頼をよせられるひとを増やせません。相談されること、相談することで、信頼がはぐくまれ、ああこの人ならわかってくれる、安心できるという感情を持てるからです。現実にそのような人を増やせないとなると、表面的な人間関係しかない世界になってしまう恐れがあります。そのなかでは心からの満足や幸福感を感じるのは難しいのではないかと危惧します。対人関係は幸福感のもとになることがいままでの研究からは証明されています。コントロールできないからこそ、理解しあえたときの喜びが大きいのでしょう。

AIの限界を知って上手に利用をすることは必要かつ有益なことですが、その限界やリスクも知って、現実の人間関係も豊かにしていきたいものです。

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