#21:職場における適切な指導 ―パワーハラスメントやセクシャルハラスメントへの理解も含めてー

メンタルヘルス対策研究所の高橋です。メンタルヘルス対策に関するあれこれを情報発信しています。皆さんの日ごろの社内の健康管理やメンタルヘルス対策、ストレス対策に参考にしてもらえると嬉しいです。

昨年10月に、精神分析武田こころの健康財団の主催する「第13回 企業のメンタルヘルス ーハラスメントなどの職場のストレスとウェルビーイングを目指してー」と題するシンポジウムに参加してきました。

パワーハラスメントに関しては「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されること」と定義されています。したがって裁判においては、その行為の必要性と違法性が判断されるという。したがってパワハラに近い行為があっても違法ではないとか、すぐに処分対象になるということはなく、事情を被害者、加害者などに十分ヒアリングして判断することが必要です。これに対して、セクシャルハラスメントは業務に必要ではないので行われたら即アウトであるというのが大きな違いであるといわれました。パワハラを恐れて、必要な指導をしないことも職場では指導監督義務に違反するということになります。したがって、必要な指導を相当の方法で行うということが本当は大事なのです。

このことは頭では理解しているけれど、現場では相手がどう受け取るかに気をつかうあまり、指導がなされないという本末顛倒なことが起きている職場も多いです。ここではそもそも信頼関係が構築されたうえで、必要な指導がおこなわれるという過程を踏んでいることが大事になります。最初の関係構築の段階をクリアしたら、職務に何が必要で、何ができており、何が問題か、そしてその問題を乗り越えるためにどうしたらいいのかということを伝えるスキルが大事になります。そのためには職員がどこまでできているのか、どこでつまづいているのかを仕事ぶりの観察や仕事の成果から把握し、本人からの報告や周りの職員の意見をすり合わせながら、できていることやいい取り組みは続けてできるように承認して強化し、その後現在の課題を明確にしてどうやったらそれを解決できるかを指導助言する必要があります。このプロセスなしに非難や叱責をすることは指導監督義務を履行していないことになるので注意が必要です。このためには仕事の取り組み方や成果にたいしての評価が公平・公正にできるシステムがあることが望ましいです。そのうえでそれを社員本人にわかるように伝える工夫が必要であり、そこは相手の知識や経験、感情などを考慮して適切な伝え方をする必要があります。これがうまくできると、信頼関係は強まり、相談しやすくなって、部下の生産性も上がりやすくなります。

当研究所はコミュニケーションの深化をとおして、働きやすい職場と生産性の上がる職場構築に貢献していきます。そして職員みなさんの幸福感を高めていきたいと思っています。今回の内容が日常業務のヒントになれば幸いです。

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