メンタルヘルス対策研究所の高橋です。メンタルヘルス対策に関するあれこれを情報発信しています。皆さんの日ごろの社内の健康管理やメンタルヘルス対策、ストレス対策に参考にしてもらえると嬉しいです。
7月にストレスチェックをしている会社も多いかと思いますが、その結果をどういかしているかを今回は考えたいと思います。ストレスチェックの開発の経緯としては、2000年代初頭、日本では過労や職場ストレスによる自殺や過労死が社会問題として注目を集めるようになり、政府も企業のメンタルヘルス対策に積極的に取り組む必要性を強く認識しました。そして厚生労働省は2006年に「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を策定し、企業が労働者のメンタルヘルスを管理・支援するための指導を行いました。このガイドラインは、ストレスチェックの制度化への基礎となりました。2014年、労働安全衛生法が改正され、日本の企業におけるストレスチェック制度が正式に導入されました。これにより、50人以上の従業員がいる事業場は、毎年1回ストレスチェックを実施することが義務付けられました。この制度は、労働者が自分のストレス状態を把握し、必要な支援を受けることを目的としています。また、企業はこの結果をもとに職場環境の改善を進めることが求められています。
ストレスチェックの結果、自分の状態を把握していきましょう。ストレスが高い状況なのか、心身の影響がでているのか、サポートが受けられているのかなどを確認してください。そしてストレスが高いという判定であるならば、まずは毎日の状態を振り返って、どんなストレスを自分が抱えているのか分析してみてください。思いつくままに、自分の健康や経済状態、家族の状況、仕事の状況、友人関係の状況などを振り返ってみましょう。仕事に関しては仕事内容とともに仕事上の人間関係も確認してください。
仕事に関しては、上司や同僚、先輩など相談できる人がいるかも確認してください。そのような人がいるなら、今自分が抱えている問題を相談してみましょう。もしもそのような人がいないならば、職場の窓口をとおして、産業医や専門カウンセラーの面接を受けることができるので、相談してみましょう。相談内容を人事などに知られたくない場合は、高ストレス面談ではなく、一般の面談として相談することもできます。専門家と相談することで、客観的なアドバイスやストレス解消法の具体的な手段をえられますので、上手に活用しましょう。
またストレスチェックを委託している場合は、企業に職場分析レポートが提出されます。それをもとに、各部署の状況を把握してください。相談しやすい環境となっているのか、ストレスを抱えている人が多いのか、その内容として、仕事量や仕事の質などにかんしてどのようにとらえている人が多いのかなどが数値としてでてくるので、それを手がかりとして、改善が必要かどうかを判断していきます。他部署や同業他社と比べて明らかに問題がありそうな場合は、積極的に改善策をたてましょう。具体的には業務量に関しては人員配置の見直しや教育体制の見直しが必要になるでしょう。人間関係の問題がある場合は、職場内の環境や組織風土もふりかえってみてください。働きやすい職場としては、仕事が明確になっていること、必要な裁量性や自由度があること、コミュニケーションが活発なこと、サポート体制があること、休息が取れることは必須条件です。これを機会に組織内、部署内の様子を点検してみてください。
働くことで得られるものはたくさんあるので、健康に働ける職場で職員ひとりひとりが輝けることを願っています。