#08:適応障害ってよく聞くけど、どう対応すればいいの?

メンタルヘルス対策研究所の高橋です。メンタルヘルス対策に関するあれこれを情報発信しています。みなさんの日ごろの社内の健康管理やメンタルヘルス対策、ストレス対策に参考にしてもらえると嬉しいです。

4月から新しい環境になった人も多いのではないでしょうか?新しい環境になじめずに心身の不調をきたしている人もいるでしょうか?どんな人でも環境がかわるとある程度のストレスを感じると思います。これは変化への反応になり、正常な反応です。通常は変化に対する反応は2週間から3か月程度で収まってきます。

ただこの変化が衝撃的な出来事の場合、起きる心身の反応が強く、日常生活が大きく障害されてしまいます。災害や事件に遭遇するなど、死に直面するような体験などでは、その反応は誰でも大きく、急性ストレス障害と呼ばれます。

これに対してそこまでの出来事ではないが、その人にとっての大きなインパクトのある経験、例えばいじめやハラスメント、引っ越し、職場異動、昇進、退職、病気などに対して、本人がうまく対応できないときに適応障害となります。

適応障害の症状には、不安、うつ、ストレス、不安定な感情、身体的な不調、社会的な孤立などが含まれます。人は、仕事や学校、人間関係、経済的な問題、健康問題など、さまざまなストレス要因によって影響を受ける可能性があります。

適応障害の診断には、以下のような基準が一般的に用いられます:

1.適応障害の症状は、特定のストレス要因が発生した後に始まり、そのストレス要因の解消後も続く。

2.症状は通常のストレス反応よりも著しく重症であるか、または症状が全く不釣り合いである。

3.症状は日常生活や社会的機能に影響を及ぼし、学業、仕事、社会的関係などの領域で問題を引き起こす。

4.他の精神障害の診断に該当しない。

適応障害は一般的には軽度から中等度のものであり、通常は6か月以内に症状が解消することが期待されます。

適応障害は一般的には治療可能で、まずは適応障害にたいする正しい理解をして、安心、安全な環境で休息することから治療が始まります。これだけで、十分に回復する場合が多いものです。これで回復が悪い場合は、その背景にある要因をアセスメントしたうえで必要な対処をしていきます。場合によっては薬物療法や心理療法をくみあわせて対応します。ただし、睡眠が安定しないなど、一般的な日常生活が送れない状況が2週間以上続いている場合は、専門家の指導のもとで、生活状況を整えたり、薬物療法をおこなうなどの対応をしたほうがいいでしょう。

本人は孤立しがちですが、孤立状況では回復が遅くなるので、本人の安心できる環境でサポートをうけることは回復のための重要な一歩になります。サポートは本人が信頼できるひとならだれからでもいいですが、この時に本人の存在を脅かすような環境や、本人の人格を否定するような言葉が言われるとダメージからの回復が困難になってきます、サポートする人たちが状況を理解して、本人に対して、見守り、存在を肯定・受容して対処することが必要です。

職場環境が原因で適応障害となった場合は、状況によって、対応も変わってきます。

1)自らが不調を訴えてきた場合

 状況をよく聞き、本人にあった対応を検討する

2)同僚や上司からの相談の場合

 まずは相談者の話をよく聞き、本人と面談できるかをさぐる

 本人が面談を希望した場合は1)に準じる

どちらの場合も必要であれば環境調整を行います。

また本人の状態が不安定で業務継続が困難なときは休職勧告や受診勧奨をします。

この時期、職場や学校などでの適応障害が起こりやすい時期です。上記を参考に適切な対応をしていきましょう。

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